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子宮内避妊具(IUS)
2021年11月21日
子宮内避妊具(IUS)
☆ミレーナ(IUS)とは
ミレーナ(IUS:レボノルゲストレル放出子宮内システム)とは、子宮の中に挿入しておくタイプの避妊具です。ミレーナには、緊急避妊薬の成分としても使われている「レボノルゲストレル」が含まれており、子宮内で成分が持続的に放出され、高い避妊効果を得られます。避妊具と聞くと、金属的なものを想像するかもしれませんが、ミレーナの本体は、やわらかいプラスチックでできています。形はT字型で3cmぐらいの大きさです。以前はリング型だったため、「避妊リング」という名称で呼ばれることもあります。ミレーナを使用することで日常生活に制限が出ることはなく、性交に影響することもありません。
☆低用量ピルとの違い
どちらも避妊方法として効果が高く、また過多月経、月経困難症に効果が高いところも同じです。大きな違いとして、低用量ピルには副作用として血栓症のリスクがありますが、ミレーナにはそのリスクはありません。そのため、ミレーナは血栓症のリスクの高い喫煙者や肥満の方にも使用できます。また、低用量ピルは内服が毎日必要になりますが、ミレーナは一度子宮内に挿入すれば、最長5年は何もする必要がありません。
☆メリット
①避妊効果が高い
ミレーナから放出されるレボノルゲストレルという成分は、子宮内膜を薄い状態のまま維持したり、子宮の入口の粘液を精子が通りにくい状態にしたりします。これにより、受精卵の着床や、精子の侵入を防ぐことができ、高い確率で妊娠を予防することが可能です。使用開始後1年以内に妊娠してしまう確率は、日本では一般的な避妊方法であるコンドームが2%、低用量ピル(経口避妊薬)が0.3%なのに対し、ミレーナは0.2%と最も低くなっています。
②手間なく、避妊の失敗もおきにくい
低用量ピルのように毎日内服したり、コンドームのように性行為のたびに装着したりする必要がありません。1度子宮内に入れれば、最長5年間効果が継続します。さらに、ピルの飲み忘れやコンドームの破損のような避妊の失敗がおきないのも魅力のひとつです。
③月経困難症や過多月経に治療効果が期待できる
ミレーナのもつ、子宮内膜を薄いままに維持する効果によって、経血(月経時の出血)の量が少なくなったり、生理痛が軽くなったりします。そのため、月経困難症や過多月経など、生理痛がひどい方や経血の量が多い方の症状の緩和や改善に効果的です。
④低用量ピルよりトータルコストが安価
同じ目的で低用量ピルやホルモン剤を5年間服用した場合と比較すると、薬を飲む必要がなくなりますので、ミレーナの方が安価で済みます。
☆デメリット
①5年以内の交換が必要
ミレーナは一度装着すると最長5年間、効果が持続します。使用期限が近づくと、効果が低下する可能性がありますので、5年を超えないうちに新しいものに交換することが必要です。
②副作用がおきる場合がある
ミレーナの主な副作用として、月経出血日数の延長、月経時期以外の出血、月経周期の変化、腹痛、卵巣のう胞(一時的なものが多い)などがおこる場合があります。また、重大な副作用として、子宮や卵管など、骨盤内に炎症がおこる骨盤炎症性疾患や、異所性妊娠(子宮外妊娠)、子宮穿孔(ミレーナが子宮の壁に入り込む)などの可能性もあります。高熱や下腹痛、出血などの異常を感じたら速やかに当院にご連絡ください。
☆注意事項
①性感染症(性病)は予防できない
HIV感染症(エイズ)やクラミジア、淋病、梅毒などの性感染症を予防する効果はミレーナにはありません。そのため、性感染症の予防にはコンドームの使用が必要になります。
②異常を感じたら速やかに受診をしましょう
ミレーナを装着した後は、数日間は出血や下腹痛、腰痛、おりものの色や量、臭いの変化などの症状がでる場合があります。症状が強い場合や長引く場合には、当院にご連絡ください。また、ミレーナの位置がずれたり、脱出・脱落したりすると、出血量が急に増えたり、痛みが出る場合があります。そのような症状が出た場合は、速やかに当院にお越しください。
③妊娠の可能性がある場合は速やかに受診をしましょう
可能性は非常に低いですが、ミレーナを装着中に妊娠することがあります。前回の月経から6週間以内に月経が来ない場合や、吐き気、嘔吐、食欲不振、眠気が強いなどの妊娠の兆候がある場合には、速やかに当院にご相談ください。妊娠していた場合、ミレーナを取り出す必要があります。
④子宮口の糸は引っ張らない
ミレーナを交換する際に用いる糸が子宮口にありますが、決して引っ張らないでください。引っ張ると位置がずれたり、脱出の原因になることがあります。
☆装着、定期検査、交換
①ミレーナの装着方法
ミレーナは医師が外来で5分程度で装着致します。装着時期は、月経中で経血量が減り始める5日~7日目に行います。また、妊娠初期の流産や人工妊娠中絶の手術の際にミレーナを装着することも可能です。
②定期検診の頻度
ミレーナ装着後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヶ月後、1年後に定期検診を受けてください。1年後以降は、1年に1回の検診になりますが、状況に応じて回数が増える場合があります。
③ミレーナの交換時期
ミレーナ装着後、5年を超えないうちに交換(または除去)する必要があります。
☆費用